内向型にとって外向型も外向型社会も敵ではないですよ、という話

スーザンケインさんの「内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法」の表紙に書いてあった「リア充をぶっ潰せ!内向的な人のほうが成功する方法のすべてがここに」というコメントに関連して、内向型にとって外向型も外向型社会も敵ではないですよ、という話です。

 

内向型と外向型

内向型の本を読むと、内向型と外向型は気質の違いであると書かれています。内向型と外向型を両極に置いた場合、どこに位置するかで気質が変わってくると。

 

イメージとしては以下のような感じです。

内向型<==============================================>外向型

 

内向型の端っこに位置している人は内向型の気質が強いだろうし、外向型の端っこにいる人は外向型の気質が強いでしょう。

 

真ん中に位置している両向型も存在するようです。

 

こう考えると、内向型の人の中にも外向型の気質が存在することもあるし、外向型の人の中にも内向型の気質が存在することになります。

 

2つの概念が登場すると、ジャイアンツとタイガースのように対立構造として見たくなりますが、そうではないと。

 

2つの気質はただ違うだけです。

リア充をぶっ潰せ!」に感じる違和感

外向型社会において、自分を認められない、周りから評価されない内向型の気持ちを代弁したメッセージとしての「「リア充をぶっ潰せ!」」なのでしょう。

 

違和感を感じた部分は以下です。

 

違和感①:内向型と外向型を対立構造として捉えている

 

内向型と外向型はいわばものさしの両極であって、明確に分かれているものではないと書きました。分離しているものではないと。

 

個人個人によって差はありますが、1人の人間の中に内向型も外向型も両方の性質が存在する可能性を考えると、外向型を敵視してしまうと自分の中に存在する外向型も敵視することになり、可能性にフタをすることになりかねないと思います。

 

違和感②:内向型のほうが外向型よりも優れているようなニュアンスを感じる

冒頭のコメントに、

>「内向的な人のほうが成功する方法のすべてがここに」

とあります。

 

これは「内向的な人のほうが(外向型の人よりも)成功する方法のすべてがここに」と解釈しました。

 

内向型と外向型は気質の違いであり、どちらが優れているという話ではありません。

 

それぞれに得意不得意があって、自分の得意で相手を助け、自分の不得意は得意な相手に任せる、というのが理想です。

 

これは、内向型のクリエイターと外向型の営業と仮定してみると分かりやすい気がします。

 

内向型は自分で売り込んだりアピールしたりすることが苦手で、自分の世界で作品を創っていたいかもしれません。

 

ですが、創った作品を世の中に広めるためには売る必要があると。

 

そんな時に活躍してくれるのは営業得意な外向型です。

 

たしかに内向型の本には、「ほ~ら、過去の歴史を振り返っても内向型の人間によってこんなに素晴らしいものが創られていますよ」という部分はありますが、そこだけを取り出して内向型の方が優れている、とはならないし、それでいうなら外向型の人間にも歴史に名を残した偉人は沢山いるでしょう。

 

それでも外向型の社会で生き抜いていく必要はある

どこかのブログで「内向型の自分が活躍できないのは外向型の社会のせいだ!」という趣旨のことが書かれている記事を見たことがあります。

 

社会のせいにするよりも、自分の気質を理解して活躍できる場所に移動した方が有意義な時間の使い方ができるとは思います。

 

内向型の人間であっても外向型の社会から受けている恩恵もありますし、自分が内向型だとしても、それでも外向型の社会の中で生きていく必要があるわけで。

 

そのためには、内向型の気質を押し殺したり、外向型のふりをしたりするのではなく、自分が持っている内向型の気質を受け入れて認めて、備わっている能力を活かして世の中をわたっていきましょう、ということが内向型の本のメッセージかと思います。

 

リア充をぶっ潰したところで、自分がリア充になるわけではありませんし、他人を引きずり落そうとする人間が幸せになるはずもなく。

 

幸せな人って他人の幸せを喜ぶことができるイメージです。

 

周りになじめずに悶々としたことは私もありますが、被害者であり続ける限り自分の人生を主体的に歩むことはできないと思っています。

 

これまでの人生でどれだけ外向型社会の価値観に押しつぶされそうになって自分を押し殺して生きてきたとしても、社会が悪くて自分を被害者の立場にしてしまうと、その時点で自分の人生を放棄することになります。

 

誰かを敵にすると、責任転嫁も被害妄想も他力本願も簡単にできるのでが、誰かを敵にしている限り自分の人生は前に進まないことを念頭に置いておきたいものです。

 

もしあなたがこの本から得られることがたったひとつだけだとしたら、それは自分自身を新しい観点から見るようになることであってほしい。新しい自分を見つけることは、人生を変える効果を生み出す。

引用元:スーザン・ケイン「内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法」